故郷とは、何処をさすのか?
友人と議論したことがある。
幼少期を過ごした場所?
人生で長く住んだ土地?
過ごした時間ではなく、鮮明な記憶のある処?
両親の仕事の都合で住む場所を転々としているひとは
一体どういう基準で、ここが故郷と定めるのかしら…。
その時の結論は、
“自分が愛する、大切な誰かが居る(或いは居た)ところ”
例えば、祖父、父母、兄弟姉妹、恋人、友人、のような。
または、その人との思い出がある場所
なのではないか、だったような気がする。
「たぶん故郷は、ひとつとは限らない。」
「実際に自分が住んだことのない処であっても
故郷になり得るってこと?」
確か、そう聞かれた。
「そうだね。そう思う…。」
答えながら、頭の中は別のことを考えていた。
私の遠い記憶にある故郷の星マルデクは、
いまでは失われてしまった。
それをとても哀しい…と感じていたはずなのに
現実には、碧く美しいこの星で長く暮らして
普段はすっかり忘れてしまっている。
故郷とは、何か悲しいことが起こった時に
思い出す場所なのかもしれないな…。
楽しい思い出があった処、として。
そこへ行けば
なぐさめてくれる誰かが居る場所、として。
または、悲しい思い出が
懐かしさと共に込み上げてきて
鼻がツンとして、思わず涙を流し
そして、その涙が、悲しみを浄化させてくれる処。
いずれにせよ
故郷は、いつも自分のハートの内にある。