「夏休みはどうするの?」と友人に聞かれて、
「行きたいところがある。」と答えていました。
その時、私の頭に浮かんだのは、無数の奇岩が海面に浮かぶ幻想的な景色。
ベトナムの世界遺産=ハロン湾・・・“龍の舞い降りる海”でした。
『その昔、隣の大国・中国からの度重なる侵略に悩まされていた時、
ホンガイの街にあるロンティテン寺に龍の親子が空から降り立ち、
尾で山を切り裂き口から宝玉を吐き出して敵を撃破。
やがて宝玉は岩山に姿を変え、海上の砦となって湾を取り囲み、
以来、沿岸の村々を守り続けているとまことしやかに伝えられ、
龍が置き土産にした宝玉は大小2,000もの奇岩となって
エメラルド色の静かな海にたたずんでいます。
—cocomachi magazin 吉川由美さん投稿記事より』
ちょうど別の友人が仕事でベトナムへ赴任したこともあって
夏やすみのベトナム行きが決まった瞬間でした。
ところが、ベトナムへ行くなら旧サイゴン=ホーチミンと思い込んでいたため、
ホーチミン往復のエアチケットを購入し安心してしまい、
観光ガイドを調べなかったので、直前になって大きな過ちに気付いたのです。
ハロン湾へ行くなら、ハノイへ飛ぶのだったと。
格安チケットなので、変更はきかないし、ホーチミン→ハノイは
何と1,618kmもあるという・・・。
やむなく、(次回ね!と)ハロン湾観光はあきらめ、
フランス統治下の名残りをとどめた旧サイゴン=ホーチミンの街を
楽しむことにしました。
マグリット・デュラスの自伝的小説が原作である
映画『ラマンL’Amant』の舞台にもなっている街は、
じんわりと湿度が高く暑いのですが、
旧フランス領であった時に建てられたレトロな白い建物が
洒落た雰囲気を醸し出していて、とってもいい感じ。
たくさんのバイクが走る通りや、小さなお店がひしめく市場などは
若いエネルギーに溢れていて活気がありました。
ゆったりと流れる泥色のメコン川をホテルの窓から眺め
涼しい部屋でくつろぐことができましたし、
街で食べる料理はどれも美味しくて、
ぶらぶら歩いて散策しながら、
安くて可愛い雑貨(籠やスカーフ)をちょこちょこ買ったりして
夏休みを満喫しました。
中でも水牛の角を加工したアクセサリーのモダンなデザインが素敵で
大いに刺激を受けました。
帰国してからも、麻のストンとしたワンピースに
大振りで華やかな色の水牛アクセサリーをつけると
あの暑くてエネルギッシュなホーチミンの街の記憶が蘇り、
(ああ、今度こそドラゴンに会いに、ハロン湾へ行かなくちゃ・・・)と
思えてくるのでした。