水辺にて

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あれは、10歳の夏。親元を離れ、初めてのひとり旅。

 

夏休みをこどもだけで過ごす企画で、都会から来たお互いに知らないもの同士のこども

たちが 15人ほど、白馬村の民宿に泊まった。お世話役のお兄さん&お姉さんは優しく、

民宿や村のおじちゃんおばちゃんも親切で、 始めのちょっと気まずい雰囲気も一瞬で

すぐに打ち解け、山登りや釣り、キャンプファイヤーと 盛りだくさんのスケジュールを

こなすうち、あっという間に3泊4日の旅は終わってしまった。

 

山々の雄大さ、新鮮な空気、樹や草の匂い、落ちてきそうな満天の星空、

特に印象に残っているのは、民宿の広い敷地を流れていた小川についてだった。

 

そのせせらぎには、透き通った冷たい水がさらさらと流れていて、 生い茂る樹々の下を

通って民宿の裏手を流れる川に合流していた。

わたしはその樹の辺りが気に入って、自由時間には、陽光を反射してきらめく水面を

飽かずに眺めていたのだった。

 

小川の水は、生きもののようにくねり渦巻き、流れていく。

掴みどころがないようでいて、何か意志のようなものを感じるその動きを見ていると

“透明な水にはいのちがある。水の妖精はきっといるに違いない”とその時に感じた。

 

年月が経ち大人になった今は、川沿いの家に住み、妖精たちが紡ぎ出す流れるような

美しいフォルムを、シルバーという金属でカタチにしようと試行錯誤の旅をしている。

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